冬キャンプで使うポータブルの薪ストーブ。
圧倒的な暖房能力を持ち、テントの中で暖を取りながら焚火ができるのは素晴らしいです。
しかしながら、薪ストーブを使うのであれば、薪ストーブの特性である「ドラフト(上昇気流)」についてある程度は理解する必要があります。
今回は筆者のドラフトが弱い時に起こった失敗談を踏まえてお話したいと思います。
(※筆者はテンマクデザインのサーカスTC DXに薪ストーブをインストールしています。)
薪ストーブのドラフト(上昇気流)とは
煙突内で暖められた空気により生まれた気流を指します。ドラフトによって排煙を行い、その時に発生した吸引力によりストーブ本体から燃焼空気(酸素)を取り込みます。
そして、このドラフトはストーブ内の燃焼に大きく影響します。
ドラフトの強弱を左右させる三要素
ドラフトは、煙突の方向、煙突の高さ、燃焼温度に左右されます。
まず、真っ直ぐに立ち上がっている煙突と曲がっている煙突では、前者の方がドラフトの流れがスムーズです。
続いて、十分に高さがある煙突はドラフトを起こしスムーズな排煙を行います。十分な高さがないとドラフトは起きにくく逆流する場合があります。
次に、燃焼温度が高く外気温が低く気温差があると、気圧差によって強いドラフトが発生します。
ドラフトが弱いとどうなる?
まず、燃焼室に十分な空気が給気されません。
薪が燃えにくく排気温度も低下し煙突内にタールが付着しやすくなります。また排煙の逆流もあります。
筆者失敗談のバックファイヤー
なかなかの条件が揃わないと発生しないレアケースだと思うのですが、ドラフトが弱く薪ストーブよりバックファイヤーしました…。
キャンプあるあるですが設営後に急に天候が変わりました。この時の条件としては、
- 外気温が低い(寒い)
- テント内の温度も低い
- かなりの強風(低気圧)
- 二重煙突は使ってない
- 煙突の高さはデフォルト(購入時のセット内容)の物
と言った条件でした。(※薪の状態はよく乾いた物を使用。)
薪ストーブが着火しない
まず、いつもは簡単に着火剤で着きますが、この時はなかなか着火せずに燃えてもすぐに消えてしまいます。薪ストーブと煙突は冷たいまま。
そして、何とか燃焼してドラフトが起きますが、発生したドラフトは弱い為、強風が吹くと煙突内の負圧が気圧に負けてしまい煙が押し戻され逆流し、ストーブ燃焼口よりバックファイヤー。テント内は煙で充満し思わず外へ避難。これが何回も続きました…。笑
このままでは埒が開かないので、燃焼口よりガスバーナーで薪を強制的に燃焼させてストーブの温度を上げていき、気圧に負けないドラフトを発生させました。
ストーブ本体とテント内の煙突の温度が上がると、ドラフトも安定してきて平常運転できました。
まとめ(今回の事例を踏まえての反省点)
- 燃焼温度が低かった。
- 着火時に素早く温度が上げれなかった。
- 煙突の高さが今回の気候に適応できてなかった。
- テント内の温度も低かった。
自然相手なので、なかなか難しいですが、気温と気圧が低い時は特に注意が必要だと思いました。
ちなみに、上記の「3.煙突の高さが今回の気候に適応できてなかった。」については、煙突を2本追加し高さを上げています。実際、強風に出会した時に安定したドラフトを起こし逆流はありませんでした。今後はこれをテンプレートでいきたいと思います。
最後になりますが、気候により大きな事故に繫がると感じた時は薪ストーブの使用をやめる判断も必要です。「不安だな…。」と思った時はすぐに使用をやめましょう。