キャンプインストラクター直伝!知っていますか?テントのコーティングについて。知るとテント選びが楽しくなる!?
最終更新日 2022/09/09
どうも。キャンプインストラクターのaki.freedomです。
前回はテントの耐水圧について、テントがどれくらいの雨までなら耐えられるかの性能値が分かりました。
前回の耐水圧編で「撥水効果が落ちると性能値も低下する」とお伝えしましたが、そもそもテントはどのようにコーティングされて、防水性があるのかを今回書きます。
テントの耐水圧について
テント生地の厚みについて
テント生地のコーテイング
テント生地には防水コーティングが施されています。(コットン・ポリコットンテントはコーティングされていません。)
テントで使用されているコーティングは大きく分けて2種類あります。
ポリウレタンコーティング(PU)
テントで最もスタンダードなコーティングでPUと表記されることもあります。
テント生地裏側に防水コーテイングが施されています。また、テントの他にバッグの裏面など様々な物に使われています。
利点は優れたコストパフォーマンス、コーティング施工のし易さ、優れた防水性能などがあります。
ポリウレタンコーテイングの劣化(加水分解で剥がれる)
ポリウレタンは空気中の水分に触れた瞬間から劣化の加水分解が始まります。
これは劣化の進行スピードを緩やかにすることはできても、ポリウレタンの宿命で防げません。劣化の症状は初期でベタ付きが発生し、末期ではボロボロと崩れていきます。
実際体験された方もいると思いますが、合皮、ハイテクスニーカーなどのポリウレタンが使用されている製品がボロボロになるのと同じ現象です。
ポリウレタンは水・湿気と摩擦に弱く、湿気に多い場所での保管、コーテイング面を引きずったりすると劣化が早まります。
またテント表地の撥水効果が落ちて防水面(裏地コーティング面)に水分が浸透し触れると劣化が早まります。
コーティング面も結露したらなるべく拭いてやる方が良いと思いますが、経年劣化である程度仕方ないと割り切る方が精神的に楽です。笑
PUコーティングの寿命を延ばすのは、しっかり乾燥させ、摩擦に気をつけ(ゴシゴシ拭くのもNG)、表地の撥水メンテナンス、風通しの良い場所での保管を気をつけましょう。
シリコンコーティング
こちらは生地素材にシリコンを染み込ませるコーティングです。シリコンコーティングは主に山岳ハイエンド向けのULテントに施工されています。
ナイロンによく施工される方法で、ナイロン繊維にシリコンを染み込ませた生地をシルナイロンと呼びます。
利点は防水性と生地強度が高いです。また、コーテイングが剥がれたり分離することがありません。PUのように劣化することが無く耐久性が高いです。
シリコンコーテイングは価格が高い
「それじゃあ、加水分解がなくて防水性と強度が高い方がいいから、一般的なキャンプ用のテントもシリコンコーティングでいいんじゃない?」と思われますが、そうすると高価格になり安価で買えなくなります。
PUに比べるとシリコンコーティングは高いです。シルナイロンも高額な素材です。
そしてシリコンコーティング・シルナイロンは表面がとてもツルツルしており、シームテープ(縫い目に貼る防水テープ)が貼れません。縫い目の目止めには特殊な溶剤が必要となりコストがかかります。
安価な製品には簡単に使えない理由がこれです。
また防水性が高い反面、結露しやすく一長一短です。
撥水加工
撥水加工とは水を弾くためにテント素材に表面に加工することです。普通の撥水加工より優れたDWR(耐久撥水)加工といったものもありますが、一部のテントのみ施工されています。一般的なテントにはコストがかかるのでされていません。
また撥水では水の侵入を完全に防ぐことはできません。テントでは防水コーティングの補助的な役割な立ち位置です。
※撥水加工を防水コーティングと勘違いされてる方もいらっしゃるので注意。
撥水能力が低下したら撥水剤で復活します。
まとめ
- テントの防水コーティングはPUとシリコンコーティングの2種類がある。
- PUの加水分解は避けれらない。
- PUは水・湿気と摩擦に弱く、湿気に多い場所での保管、コーテイング面を引きずったりすると劣化が早まる。
- シリコンコーティングは半永久的。しかし価格は高めで山岳向けULテントに多い。
- 撥水加工は水を弾くためにテント素材の表面に加工すること。防水性はない。
一般的なキャンプ(オートキャンプ)用テントの防水コーティングにはPUが主流なので、こちらの取り扱い方法を覚えておくと良いと思います。なんだかんだで割と長持ちます。笑
お気に入りのテントには限られた時間がありますが、大事に使って沢山の思い出を作ってください!